福地啓介六段がオセロ世界大会で優勝し最年少記録を更新。決勝で打った7手読みの意味は?

先ほど「トクダネ(2018年10月16日)」でオセロの特集がありました。

今回第42回オセロ世界大会がチェコのプラハで開催され、
福地啓介六段(世界大会優勝で、近日昇段式により七段になる予定)が史上最年少で優勝しました。

過去に谷田邦彦七段が世界大会を15歳で制覇し、最年少記録を打ち立てましたが、
その記録が36年ぶりに塗り替えられた歴史的な瞬間となりました。

この谷田さんも、今回すんごいサプライズを用意してました。
当記事の後の方で紹介しますね(笑)

福地さんは現在11歳の小学5年生。
これだけ若い人が世界制覇からか、メディアでも大きく取り上げられるようになりました。

こちらがとくダネのシーンですね。

https://youtu.be/Rml3-aDcnCg?t=2574
オセロの特集の部分から、再生されるようになっていると思います。
(42分54秒からです。)

 

今この瞬間に置く必要のないところに置く。その先は?

本ニュースにおそらく沢山のオセロガチ勢も注目したとは思いますが、
やはりオセロ勢として気になるのは、とくダネでも紹介のあったこの局面ですね。

一見「今この瞬間に置く必要のない場所に置く
7手先まで読んだ手」で、実はここで間違うと簡単に負けてしまう局面だった。

番組では、中島さんが2手先まで説明してくれました。
きっと収録時間の関係と、その先を説明しても理解できるのはオセロ経験者くらいwなので、そこまでしか説明しなかったのでしょう。

ただ、ツイッター等では、
「え?7手先まで知りたいです!」って声も散見されたので、管理人なりの予想でもしてみましょう。
福地さん本人に聞く方が正確ですね(笑)

実際の局面これですね。


この交換です。

説明の通り、白は一見ここで直ぐにh6に打つ必要はないような局面です。
その基準なんですが…

白が打ったh6なのですが、
この箇所、現状黒からは打つことが出来ません。

このように相手から打つことが出来ず、自分だけが打てる箇所のことを「余裕手」と言い、
今すぐ打つ必要が無いことが多いです。

しかし、この局面ではその場所へ打ちました。

では、少し比較をしてみましょう。
実際の決勝戦で打たれたのは…


ではもし、白h6黒h7の交換を後回しにするとどうなるか?


最初の交換を行わずに、先に白c8と打つと、
黒b8後に白g7とX打ちができない状態になります。

その主たる原因が、白c8の時にf5の石を取ったこと。


は取った石、赤枠:白で通っています。

このラインを通してしまうことにより、白h6後黒がh7と打った時に左上方向が返らない状態になります。

もし左上方向(赤枠部分)に黒が1石でもあれば、そちらも取ることになり、
黒が返したg6の石に対してg7とぶつけて行けるわけです。

上の再生局面では、その後白f8に打ち、黒g8の交換を入れれば、白はg7のX打ちが出来るようになり、しかもラインが通せるんですが…

盤面はこんな感じになります。

確かにホワイトラインが白で通っているため、黒は今はh8に打てないんですが、
他の箇所のやり取りで、もしライン上に黒を乗せられてしまうと、

黒がh8を取れるようになり、この場合h列と8行が黒一色になってしまいます。

こうなると白の大差負けになってしまう。

優勝を狙った冷静な判断かも?

そして勝敗のルールなんですが…

  • 1局目は29-35で福地選手の勝ち
  • 2局目は32-32の引き分け

となった。
このため3局目は合計石数の多い方が優勝となる。
ただし同石数の場合(35-29黒勝ち)は、予選1位で突破したピアナット選手が優勝。

となっていました。
つまり福地選手が優勝するには、

  • 勝つ
  • 負ける場合でも30石以上取る

このどちらかである必要があった。
つまり負けても僅差であれば優勝できる!

最初のように、
先に白h6黒h7の交換を挟んでおくことで、白はライン通しを満たしたX打ちを決められ…

これですね。

これなら右下が3マス空きなので。
(とくダネの中では「偶数理論」って紹介はあったと思うが…)
もし黒にホワイトラインを取られて次の番に隅を取られることになっても、

3マス空きに白が先に打てば、2マス空き(偶数空き)の状態で黒にh8を打たせられ、
残り1マスを白で埋める。
と言うケアができ、負けることになったとしても大差負けは防げる。
(g列は白一色だが、ここに黒が1石でもできればストナーも狙える。)

と言うところまで想定したのではないかなぁーと感じています。

終局手前のお見合い

テレビでは紹介があまり無かったのですが、
もう一つ凄いのはこれ。

一手前から紹介です。
「>>」を一回押すと、本題が出てきます。


この局面、オセロがある程度強い人はすぐに分かるのですが、
下辺は「双方C打ち」と言う形をしています。
(当サイトでも、まだ古い見栄えですが紹介しています。近日リニュアルする予定)

双方C打ちとは、隅(角)の隣のマスであるCの部分に双方が打っており、双方の色の間には1マスの空きが存在する形のことです。

上の流れでは、黒がb8~e8(b8がCに当たる)を取っており、白がg8(これがC)を取っており、間のf8が空きな状態。

で、本来このような形では、例えば黒がh8の隅を取ると、白はf8に潜り込むことで、いつでも好きなタイミングでa8を打つことが出来るようになります。

ただし、f8に潜るためにはちょっとした条件がありまして…

白がf8に打てるように、実戦を少し改造しました。(d6を白に変更しています)


d6の石を白に変更したのは、白がf8に打つために必要だったからです(笑)

が、実際の対局では、白はf8に打つことが出来ませんでした。

このように双方C打ちの形で、

相手に隅(角)を取らせる
→双方の空きに潜る。

と言うのは一つの手筋であり、また、相手が隅(角)を取ったら、その直後すぐに打たなければいけないことが多いです。
打たなければ相手に取られてしまい、その辺はほぼ相手一色になってしまうため、負け濃厚になります。

しかし、ここで福地選手が打ったのはa7


この手によって、白はf8に打つことが出来るようになります。
当然黒はここでf8に打たないと白に潜られてしまっては勝ち目がない。

だがしかし。
白a7によって、a6が白大量に取れるような状態になり、黒としては、この番だけ2手続けて打ちたくなるような局面。

このように双方にとって打ちたい場所(=先に打ってしまいやすい場所)が2箇所できるように打つことを
お見合い状態にする」(笑)と言うらしく、
片方は取られるけど、片方は自分のモノに出来ると言う手筋があります。

最終的には、黒f8が一番良いけど、その後の白a6が大量取りとなり、4石差を守り白の勝利となりました。

ちなみに白a7ではなく先にa6に打ってしまうと…


白パスになってしまいます。
結果最終手は黒で埋まり、黒の6石勝ち=ピアナット選手の優勝となります。

このように、たった一手の違いで勝敗がひっくり返るような場面。
ましてこれで世界一が決まると言う大舞台で、最後まで冷静に打ち切れたことは素晴らしいですね。

黒h8打った所からなら、オセロ有段者で考える時間があれば、まず間違えないでしょう。
(私はヘーキで間違えますがww)

ただ、このような局面になるのを、
あの右辺h6h7の交換の時点から読んでいたとすれば、それはもう天才の領域かもしれませんね。
(本人に聞いてみたいところではあるね。)

管理人が思う、メディアで取り上げられた局面に対する見方はこんな感じですわ。

最終結果

優勝:福地啓介選手
準優勝:Piyanat Aunchulee選手
第3位:高梨悠介選手
第4位:Ben Seeley選手
女子優勝:菅原美紗選手
団体優勝:日本

福地選手が今回優勝しましたが、ここに名前の載っている方は皆、過去に世界で優勝した経験がある方なんですよね。
素晴らしすぎる。

また、決勝進出にはならなかったものの、共に出場した清水選手、土屋選手も4位、10位と健闘。
団体戦は国ごとの勝敗数の合計できまるため、団体優勝の大きな力になったでしょう。

皆さん本当にお疲れ様でしたm(_ _)m

帰りの飛行機にてサプライズ

これは本当に見てるだけでも感動した。

大会を終えて、日本へと帰国する代表メンバーですが…
その機長を務めたのは…

詳しくは動画を見ると分かります。
運命的なモノを感じますね。

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オセロよ流行れ~

最年少記録を更新ということで、メディアも注目されました。
大手のテレビ局が報道したことで、オセロも世界から注目されるキッカケとなるかも知れません。

日本では、やっぱり将棋や囲碁の有段者の方が有名ですよね。

オセロにはまだ「プロ」と言う制度がなく、
友人に「オセロ有段者です」って言っても、「オセロに段なんてあるんや?」な反応が普通w

でもこの報道をキッカケに、オセロの競技人口が増えて、活気が付くと良いかも知れませんね。
覚えるのは簡単なゲームだから(笑)

当サイト「オセロの勝ち方・必勝法を」を運営している管理人ですが、
「強くなりたい」と思った人が現れた時に、その人の力になれたら幸いでございます。

もう管理人なんてあっさり抜き去っちゃって下さいね\(^0^)/

コメント

  1. まるーべり より:

    オセロの最年少記録更新が話題になりましたが、オセロの解説はこのページだけでした。