厳密にはウサギ系定石ではないのです。
(3手目で★=c5に打つのがウサギ系)
しかし定石名が似ているし一つ隣なだけ、雰囲気が似ているので一括りにしています。
そしていきなりですが、実際に対局で打つ人はあまりいません。
理由は、その後の白が比較的打ちやすいからです。
上級者で打つ人は余程の研究好きくらい。
(僕が大会で打たれたのは1回あるかないかレベル)
それよりも定石をあまり知らない初~中級者辺りが打つことが結構あります。
最序盤なのでたまたま打れるケースが多いのでしょう。
よって白の立場としても、数手先までは打てるようにしておくと安心ですね。
目次(もくじ)
そもそも何故打たれないのか?
では何故あまり打たれないのか?
理由を軽く押さえておくと、その後の流れが分かりやすくなります。
縦横の壁に対して、斜めに打ちこむ手はリスクあり?
縦横の壁とは…
こういう並びです。
ここを破るように打つ場合
- 垂直に入る
- 斜めに入る
2パターンがあります。
ウサギ系の定石は垂直に入るのに対して、こちら野ウサギは斜めに入る打ち方なんですね。
ここで後者には注意したいことがあって…
この★の部分が急所になりやすいんです。
ここを相手が容易に取れてしまう場合、その原因を作ったは悪手になるケースが多いです。
垂直に入る場合だと…
(黒番)
黒はc5によってd5の石を返しました。
返した石(=d5)を相手に狙われることを「むき出し箇所に打たれる」とか「返し戻される」と言いますが、基本的にこのように応じられるのは良くないケースが多いです。
しかし相手がc4で返し戻したとしても、こちらもd6で反撃!返し戻しが可能ですね。
これで相手に手を渡すため、黒としてはいい形で進められました。
一方、斜めに入る場合だと…
さっきと事情が異なりますね。
言葉では説明しづらいですが、相手がc5によって返したd6。
これを返し戻そうとすると、相手の打ったc5も取ってしまい、悪い形になりやすい。
白壁の外に自分が黒壁を作ってしまうため悪形となりやすいんです。
これが縦に入る、斜めに入る場合の大まかな違いです。
基本的には縦に入る方が好形になりやすい、と覚えておけば良いでしょう。
野ウサギ定石の流れ
この考えを踏まえると、野ウサギ定石は黒からあまり打たれない理由に近づきます。
3手目でc6、さっきの話で行くとc5が急所になるかどうか?
白は今すぐc5には打てないのですが…
白はf4でe5を白にすることで、次にc5が打てるようになりますね。
(しかもウサギ系定石と同じ感覚で打てる→白立場では覚えやすいですね。)
黒はe5を戻す手段がなく、無難な手はe6ですね。
(自石を繋げるように打ち、一応次にe3に打てばe5を黒に戻せる。他のd3、f3は外部を取りすぎ、d7もはみ出し過ぎなのでこちらは全部悪手。)
ですが次で白c5と打ってしまえば、黒の急所に打てたことになります。
これで白がやや有利な形になります。
ちなみに…
厳密には白c5は次善手であり、最善手はg5と言われます。
コンピュータが示す最善と、人間的に打ちやすい手は必ずしも一致しないですね。
どちらに打っても白優勢ですが、g5に関しては別途紹介します。
先程の考えで行くと、白c5に対し黒c4に打つのは悪手ですね。
分厚い壁を作ってしまいます。
ちなみに白4手目f6はどうよ?
ここだと1石返しだし、同様にe5に白を置けます。
と考えてしまいがちですが、
黒のe6によってe5は黒に戻されますし、黒が白の内部をダンゴのように固めてしまいます。
よって4手目f6は緩いです。
結果的には互角くらいの形成に戻されてしまいます。
以上が野ウサギ定石のごく序盤、基本系でした。
ウサギ系とは違い野ウサギ定石は「白壁をナナメに割る」ため、白から反撃しやすい局面となります。
おおよそここまでは確定的に進み、次の白が…
- 人間的に打ちやすそうなc5
- コンピュータが示す最善手であるg5
- コンピュータが示す、もう一つの候補であるg6
だいたいこの三択です。
白から先に選択できる流れです。
このため上級者ほど人気薄な定石ですが、一部では打つ人もいるかもしれない。
または定石を知らない初心者相手の対策として、少しだけでも知っておくと楽に立ち回れますよ。
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